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僕たちは青島俊作になれるか?

「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてんだ!」

付き合いだとか、縄張り争いだとか、
派閥闘争だとか……。
なんとも言いがたいイヤーな
「大人の事情」みたいなものを初めて知ったのは、
小学生時代に見たドラマ「踊る大捜査線」だったかと思う。

主人公の青島刑事はやたらと勘と運が強く
いつも難事件の重要な手がかりを誰よりも早く得る。
青島は事件解決のために行動するが
「所轄は手を出すな」という決まり文句と共にオエライさん方が現れ、
青島をその場で止める。
オエライさん方は事件そのものに目をくれず、言い争いを始める。

結局、そんなオエライさん方の中でも
青島たち現場の気持ちを汲むことのできる男・室井が
「青島、行け!」と指示する。
青島たちは事件を解決するが、
オエライさん方の怒りを買い、それなりの罰を受けたり、
今後の活動に支障をきたしたりする。
僕の持つ「踊る大捜査線」のイメージは、
だいたいそんな感じだ。

偉い人の言いなりにならず、
正しいと信じる自分の信念を貫き通す。
なんてかっこいいんだと思った。
青島刑事はまさにヒーローそのものであった。

でも、社会人として生きているうちに、
青島刑事のやっていることがどれだけ身勝手で、
迷惑なことなのか、だんだんわかってきた。
警察にとって、事件を解決することが最優先であることはもちろんだろう。
このドラマでは偉い人が「悪」として描かれることが多く、
大抵の場合は彼ら側に非があるので、
青島のやっていることは最終的には「正義」として扱われる。

しかし、現実が全てそうなのかというと、違う。
もし青島が突入して民間人とトラブルを起こせば、非常に面倒なことになる。
青島を辞めさせたとしても、トラブルは残り続ける。
要はそのリスク回避を優先しているからこそ、
オエライさん方は青島を止めているのだ。
多分、これは普通のことなのだと思う。

こんな考えが出てくるだけでも、
僕は見事に社会に染まってしまったのだと思う。
だが、青島刑事が心のヒーローであることには変わりない。
信念を貫く。これは本当に大事なことだ。
本当は、誰にだってできるのことなのだ。
そういう意味では
僕たちは青島のようになれるし、
きっと、なるべきなのだと思う。

ただ、他人に迷惑をかけさえしなければ。

追記:
ちょうど先日「踊る大捜査線」のテレビスペシャルが放映されていた。
映画版の「1」以来見ていなかったが、
これを書いた直後のことだったので、せっかくだから見てみることにした。
青島刑事はあれだけのトラブルメイカーだったにも関わらず
どうやら昇進し、部下を持つ身になっていたようだった。
(真下なんかは署長にまで出世していたが)
かつての強い情熱はだいぶなりを潜めていて、
なんだか普通のサラリーマンの映画を見ているような気分になった。
(偉い人に名刺を出してシカトされるシーンはがっくりきた)
しかしひとたび事件に関わると、
例のごとく事件解決のキーをいち早く掴み暴走していた。
そして室井が「私が責任を取る、青島、やれ!」と言い、
例のごとく事件は解決していた。

青島は昇進して「大人の事情」に苦労しながらも、
やっぱりヒーローを続けていた。
苦悩するけれど、結局は自分の信念を貫く。
これまでの「踊る」で描かれていた「大人の事情」を実際に体験し、
苦しんでいる今だからこそ、改めてかっこいいと思った。

「踊る」シリーズは今週から始まる映画でとうとう完結するらしい。
これを機に、過去の作品を見てみようかと思う。
by nakayu1105 | 2012-09-05 21:36 | Comments(0)

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