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「熱」を込めて

先日、こんなことがあった。
その日はいつものように
イベントの記事を書いた俺は
ファックスで先方に
原稿を送信した。

普段、こうした確認は
口頭だけで済ますのだが、
美術館だとか、博物館だとかは
やたらこれを要請してくることが多い。
まあ、その方が間違いないのは確かなので
別に有料広告じゃねえのに、
めんどくせーななどとと思いつつも
来るものは拒まず、
この作業は行っている。

半日して、原稿が戻ってきた。
見てみると、文字がたくさん書いてあった。
要するに「ここを変えてくれ」という
箇所があったわけだ。
この場合、うちの方針と合っていないところや、
意図があって表現を変えている箇所なんかは、
ひとつひとつを電話で説明しながら
進めなければならない。
たいていは
「それなら、そちらさんの表現で結構です」
となることが多いのだが、
今回はどうやら違っていた。

なんと、記事の8割が直されていたのだ。
俺が書いた情報に間違いはなかった。
しかし、表現というか文面が
ほぼ完全に書き換えられていたのだ。

つまり、全否定。
書き換えられた文章は
なんだか抽象的な文面で、
今回の企画展が
いかにすばらしいものなのかが
つらつらと書いてあった。

俺はそれを見て、すぐに思った。
「なめやがって!!」
記事というものは、いつでも中立である。
今週、俺は6つのイベント記事を書いたが、
どのイベントがおもしろそうで、
どのイベントがつまらなそうでも、
同じ文面で書くことにしている。
その方が公平だからである。
情報とは、常にそうあるべきだと
思っているからである。
なにより効率もいい。

さっそく抗議の電話をするつもりで、
変える場所を見つけるために
俺はもう一度記事を読み直しはじめた。

しかし、こともあろうか
これをまじめに読んだ時、
気づいてしまったのだ。
「この記事、俺の奴よりも面白い」

ある意味、当然であった。
記事を書き換えた人は、
このイベントに深く関わっている人なのだ。
だから、その人なりの思い入れがあるし、
どこが見所で、どこが面白いのか
どの部分に力を注いだのか
全部把握している。

俺は気づかぬうちに
「公平」という名目を掲げて
うすっぺらい、のっぺりとしたものを
書いていたのだ。
それに気がついた。
仕事としては、それでいいのかもしれない。
でも、これは、読者にとって、
そして、自分自身にとって
どうなんだ? どうなんだこれは?
と疑問がどんどんと膨れ上がった。

自分の書いた記事、いや
もはや「情報」としか
呼べないような代物を見直した。
よく、まとまってはいる。
でも、面白味が全くない。

こんなくそつまらんものを書くのが、
俺の仕事なのだろうか?
こんなもんを書くために、
俺は今、この仕事をしているのだろうか?
読者はどっちを読んだら
少しでもこのイベントに
足を運んでみたいと思うだろうか?

間違いなく、先方の書いたほうだと思った。
抽象的なところは、もちろん省くべきだが
この文章にある「熱い部分」は
俺が代理して書くべきなのだ。
そうあるべきなのだ。
本来の役目はそっちなのだ。

結局、電話をして
抽象的な部分だけは削ると説明した。
その後、
文面をほとんど変えないように工夫して
記事を提出した。

今度からは、こんな直してもらわなくても
「ウン、わかってるね」と
思ってもらえるような記事を書きたい。
nkyです。
時間に追われながら
やっているっていうのもある。
余裕のなさは、大切なものを曇らせる。
どうすりゃ、いいんだろうなあ。

・ダッシュターボ
ユージュアル・クエストを更新。
本編が1本、
番外編が2本。
数が増えてきて、
だいぶそれらしくなってきました。
自分なりに世界を広げながら、
ちゃんと話を作れている感覚がある。
面白いので、ぜひ一読を。

・iPad
なんと、まさかの時事ネタ!
先日発売したこいつが、
とても気になっている。

というのも、これがブームになることで
本格的に電子書籍が
普及し始めそうな予感がするからだ。
「iPad」では独自の規制もあって、
日本の書籍はあまり多くダウンロードできないらしいが、
(とくに漫画)
日本用の奴をすでに
ソニーが開発しているとのこと。
これがヒットしたりしたら
きっと電子書籍は一般化するだろう。

本のすべてが電子書籍になるとは
誰も思っていないだろうが、
一般人にこれを配信する手だてが
確立されたら、
それによって生まれるコミュニティは
かなり大きくなるはずだ。

たとえば、HPの代わりに
一人で雑誌みたいなことを始める奴も
でてくるんじゃないかなあ。
ゲームの攻略本なんかを作る人間も
出てきそうだ。
(販売はやばそうだけど)

つまり、商業と同じ土俵で相撲が取れる時代が来る。
それによって今以上の
情報の氾濫が起きてしまう可能性もあるが、
(本の存在は、ある意味うまいこと
 これをふるいにかけていたのだが……)
一人で、本を出せるなんていう
夢のような可能性も出てくる。

俺が言いたいのはそこ。
ぶっちゃけた話、iPadなんて
どうでもいい。

一人で、電子書籍の発行。
これをいつかやってみたい。
今の仕事の経験が活かせるだろうし、
なにより、ひとりでできる。
(友達ともやってみたいけど)
これは大きいですよ、ホント。

まあ、詳しいことを何も知らないので
夢を見すぎかもしれません。
というか、普及したら
新聞社で働く自分が
壊滅的なダメージを受けるのは
明白なのよね。
普及しないならしないで、
それでもハッピーよ。

でも、今はちょっと
このままにしておいておくれ。
Commented by ふきゃー at 2010-05-31 17:19 x
余裕が無いとほんとダメだね。
俺は、何もかも中途半端な感じになってきてる。
Commented by ryu at 2010-06-05 02:16 x
新聞読んでると
「~~したいものだ」みたいな締めに
「お前の意見はどうでもいいわ!」と
思ってしまう意地悪な自分がいます。

こんな読者もいるよ!
Commented by nakayu1105 at 2010-06-05 12:56
>ふきさん
おっす。がんばってるかーい?
君はとても意思が強い男だから、俺は大丈夫だと思うぜ。
お互い中途半端にならないよう努力しましょう。

>りゅうさん
自分の意思を明確に記してもいい
署名記事や社説欄のことでしょうか?
新聞を読んでいてもあまり見かけない表現のような気もしますが
そこに突っ込むりゅうさん、さすがです。

でも、僕もそう思います。
やはり記事は中立であるべきです。
お金を払ってくれている
読者様に反感持たれちゃうようじゃダメですもんね。
by nakayu1105 | 2010-05-29 15:18 | Comments(3)

日頃あったことだとか、ゲームの感想だとか、そういうものを積み重ねていくブログです。 書いてる人/nky(ナカユウ・んきゅ)


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