ブレイヴフェンサー武蔵伝
2013年 04月 23日
初代PS時代、「FF7」のヒットでスクウェア人気が大爆発していた頃、
新たなシリーズ物のひとつとして発売された作品だ。
「FF8」と「エアガイツ」の体験版が入っていたので
それ目当てで買った人が多かったように思う。
僕も購入はしなかったが、友人に借りた際には
「エアガイツ」を猿のように遊んでいた覚えがある。
これはおそらく「体験版」で一番遊んだ作品だろうと思う。
小学生時代の懐かしい思い出だ。
これだけインパクトの強い体験版が一緒だと
「FFのオマケ」みたいな印象を持たれて当然だと思うのだが、
この「武蔵伝」、現在でも根強い人気を誇る。
それだけ本作に魅力が詰まっているということの
証明とはいえないだろうか。
「武蔵伝」は少年剣士ムサシを操って冒険するアクションRPG。
スクウェア感バリバリの洋風RPGの世界に召喚されたムサシが、
日本刀「雷光丸」と幅広の大剣「レイガンド」を使って
国にちらばる「五輪の書」を集めるという内容だ。
ストーリーは単純明快で、キャラクターもどことなく抜けている感じ。
でも決めるところはしっかりと決め、
シリアスな展開盛りだくさんな上、
序盤から伏線もバリバリに張られている。
この頃のスクウェアのゲームはこういうメリハリのつけ方がうまい。
アクション部分は「マリオ64」に近い、
いわゆる「ポリゴンアクション」だが、
剣を使った連続攻撃や、
敵の能力を奪う「ゲットイン」での状況打開など
「ゼルダの伝説」っぽい謎解き要素も多い。
独自要素として、時間制限イベントや
失敗したら即死の脱出系イベントが用意されている。
この脱出系イベントは映画的な見せ方に向いているのか、
演出が凝っていて、かなりハラハラする。
「時のオカリナ」や「メトロイド」のラストを思い出すが、
最近のゲームでもよく取り入れられている。
お城の人が閉じ込められた「ビンチョフィールド」を探すのも楽しい。
ストーリー上に必要な人を始め、
必殺技を教えてくれる人もいれば、ただのヘンな人、みたいなのもいる。
どちらにせよムサシが強くなるのでゲームを進める上では重要だ。
また、時間や曜日の概念が独特で面白い。
昼でないと店は空いていないし、夜になると強くなる敵もいる。
また、曜日や時間が指定されているイベントも多い。
少し面倒だが、謎が解けた時の独特の感覚がたまらない。
ムサシが召喚されてからの日数がなぜかカウントされており、
とくに意味はないのだろうが、
敵にさらわれた姫が「ぜんぜん助けに来ない」とぼやくシーンが
妙にリアルだ。
(この時で40日程度消費していた)
声優も豪華である。
元気で男前な主人公・ムサシに松本梨香、
彼のライバル・コジローに安達忍、
敵国の美人姉妹に三石琴乃、宮村優子。
(これは明らかに狙ってやっているだろう)
謎のトレジャーハンター・ジャンに大塚明夫、
敵の幹部に山寺宏一等々……
知らない声優の方が少ない。
とくに面白かったのがムサシとコジローのやりとり。
二人とも微妙に緊張感がなく、笑いを誘う。
昨今のゲームにはないバカっぽさである。
ともかく非常に楽しめた。
あえてケチをつけるとすれば、
ミニゲームの妙な荒さだろう。
特に序盤の「レッツげきりゅう」には苦労させられた。
セーブできないくせに戻ることもできず、難しい。
その上ストーリー上必須なのだ。
この時期のゲームにはありがちなことなのだが、ひどかった。
因みに「武蔵伝」はシリーズ物として始まったらしいのだが、
第二作「武蔵伝2 ブレイドマスター」(PS2)が出るまでに相当期間があいた。
その上、スクエニ一番の暗黒期にぶつかってしまい
内容が評価されず、シリーズ第三作は未だに出ていない。
非常にもったいないと感じる。
「ブレイヴフェンサー武蔵伝」は、PSストアで販売中(600円)。
中古ショップで300円で売ってたりもするが、
これが600円なら、買いでしょう。