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ファイナルファンタジー8

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「ファイナルファンタジー8」(PS1)をクリア。
同作は小学生の頃に、ちょろっとやったことがあるだけ。
特に名作だという話も周囲で聞かないので、
今回手に取るまでやろうという気にもならなかった。
ただ、嫁が大好きなゲームとのことなので、
コミュニケーションの一環としてやることにしたのだ。

先に結論を書いてしまうと、僕は
学生時代にこのゲームをやらなかったことを死ぬほど後悔した。
それほどに作り込まれた作品であった。

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「8」のお話は、
傭兵を育てる学校で暮らす主人公・スコールが
戦争に身を投じる中でヒロインのリノアに出会い
次第に愛に目覚めていく、というもの。

スコールは自分勝手でどこか寂しげで、
いつも何かにおびえている
初期の尾崎豊の楽曲を体現したような青年だ。

それが非常にわかりやすく、印象に残るせりふがあったので記載する。

「俺……本当は他人にどう思われてるか、気になって仕方ないんだ。
でも、そんなことを気にする自分も嫌で……。
だから……自分のこと、他人に深く知られたくなかったんだ。
そういう、自分の嫌な部分。隠しておきたいんだ。
スコールは無愛想で何考えてるか分からない奴。
みんなにそう思われていればとっても楽だ」


こんなことを言っちゃう主人公である。
なんというセンチメンタルさ。なんという傷つきやすさ、みずみずしさ。
このせりふを聞いた瞬間、彼のことが大好きになった。

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彼だけではなく、ゼル、キスティス、アーヴァインといった
スコールを取り巻く仲間たちも、
未熟で落ち着きがなくて、まだ大人になりきれない少年少女たち。
戦いを通して彼らの苦悩と成長がじっくりと描かれており、
アメリカのジュブナイル小説のような趣のあるシナリオとなっていた。

彼らのやりとりには独特の味わい、後味があり、
それを見ているだけでも、非常に心地よかった。

誰と戦ったとか、どの国に行ったとかは、割とどうでもいい。
主人公一行は「ガーディアン・フォース」という
生物兵器(?)の力を借りているため、
他国の兵士では相手にならないほど強い。
とにかく強い。
しかし、精神的には非常に未熟で、不安定。
そのアンバランスさがまた、見ていて面白かった。

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また、シナリオも非常に手が込んでおり、
序盤をすぎた辺りから「ラグナ」という謎の青年の物語が
ちょこちょこ挿入されるようになる。
いったい何者なの? という疑問は置いといて、
この「ラグナ編」もそうとうに面白い。
物語のテイストが本編とかなり違っていて、
ラグナはFF5の主人公・バッツのような陽気な青年。
友人で戦友のキロス、ウォードとのやりとりが
非常に洗練されていて、笑いを誘う。
物語もシンプルでわかりやすく、
正直、こっちが本編だった方が人気が出たかもしれない。
そう思わされるほど楽しい。

ところどころに入る「ラグナ編」をプレイしていくうち、
おそらく誰でもあるひとつの解答に至る。
最終的に彼は本編にも姿を見せるのだが、
この瞬間のワクワク感たるや、であった。

本編でも、中盤に衝撃的なネタばらしが待っている。
ご存じの方が多いと思うので書いてしまうが、
メインキャラのほとんどは、同じ場所で育てられた
幼なじみだった、とわかるのだ。
なぜ、それが明らかにならなかったのかは本編を参照してほしい。

その中には、スコールのライバルで
傭兵学校に落ちこぼれたことから独立の道を歩み始めた
乱暴者・サイファーもいた。
この瞬間まで、学校を抜けた彼は
単なる「倒すべきスコールの敵」として描かれていた。
だがこのイベント以降、
プレイヤーが目をかけるべき「メインキャラクターの1人」に昇格する。
成長すべき人物になったのである。
だからこそ、敵役を見守るのも面白い。

僕は本当にこのサイファー君を見るのが楽しくて仕方なかった。
彼も自分自身をしっかりと表現できない臆病者で、
その不器用さが災いして
世界の破滅をもたらすような方向に暴走を始めてしまう。
最終的には、スコールたちと完全に敵対することになる。

だが、それを知ったスコールの反応もまたすばらしかった。
「おまえを止めてみせる!」みたいなありがちなせりふではない。
頭を抱えながら「なにやってんだよ」と、いうのだ。
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本気で殺し合いをしなければならない状況になってもなお、
まだスコールの中では、サイファーはクラスメイトであり、友人だったのだとわかる。
このゲームにおいては敵も味方も「見守る」べき存在なのだ。

だが実は、このサイファー君よりも、見守るべき敵もいる。
その最たる存在は、ラスボスのアルティミシア。
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物語終盤から唐突に出てくるアルティミシアは
スコールたちがいる時代よりも未来に存在する魔女で、
それまでの騒動の黒幕でもある。

彼女の目的は「時間圧縮」。
時間・空間を圧縮することで無の世界を作ることにある。
彼女の登場は、かなり唐突な印象を受けるし、
目的も意味不明。
ただまあ、RPGでこういったポッと出の「悪そのもの」みたいなヤツが
出てくることは、そう珍しくない。
そう納得できるキャラクターではあるのだが。

プレイを進めるうちに、彼女には
彼女自身も意識していない、ある目的があるのではと気づける。
ゲーム内にちりばめられた伏線や演出、そして
アルティミシア自身のことを考えて推理していくと、ある結論に至る。
それがゲーム中で語られることはない。
公式からの発表も、現時点でもとくにない。
だから推論にすぎない。公式設定でもない。
しかし、ほぼ間違いなく彼女は、
メインキャラクターの1人のなれの果てだと予測できる。

そう解釈するだけで、
アルティミシアの行動、言動の多くに合点がいくし、
物語にものすごい深みが生まれる。
スタッフは明らかにそう描いていると僕は感じた。

そう確信してから、彼女のことを見るのもまた、楽しかった。
ラストで彼女が救われたのかは、明確に描かれていないが
僕は救われたのではないかと思っている。

この、凝縮っぷりである。
同世代にはほとんどいないだろうが、
このゲームについてよく知らない人でも
「なんかスゴそう」と思ってもらえたのではないか。
そう、このゲームはスゴいのである。

しかも、それだけではない。
この「FF8」はシステムも非常に凝っており、
レベルを上げて「こうげき」しているだけでは
ほぼ間違いなくクリアできない。
非常に面倒だが複雑なシステムを覚える必要がある。

ただ、きちんと理解して手段を講じれば、初期レベルでもクリア可能。
さらに手間はかかるが最強武器も序盤で作れてしまう。
ただし、理解が足りないとおそらく詰むほど極端なゲームなので、
ここがとっつきにくさに繋がっているのだと思う。
僕は今回「こうしてみたらどうだ?」と考えた策が大当たりして、
中盤から「スコール無双」な状態で進められた。
「インチキさせてもらってる感」が良かった。

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クリアして2週間になるが、
いまだにシナリオや設定のことで嫁と激論を交わしている。
考える余地がまだまだたくさんあるからだ。
この懐の深さがFF8の一番の魅力だろう。
やったことのない人はぜひプレイしてほしい一作である。
長いシリーズなので軽々と「最高傑作」とは言いたくないが、
歴史に残る作品であることは疑う余地もない。
by nakayu1105 | 2017-03-19 20:10 | ゲーム | Comments(0)

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